新たな年。おやじにとっても「90切り3年計画」の初年度のスタート。初打ち絶好調のはず、でしたが、突然勃発した「右肘痛」のため満足な練習すらできず、穴蔵にじっとこもっている次第。そこで、「だぶるぱあ流」と称して、僣越ながらおやじのスコア記録の方法をご紹介致します。
自分のスコアを記録すること。これは世の奥様連が家計簿をつけるのにも似て、データを取得し記録・分析して過去及び現在の状況を把握し次の改善につなげていく、という日々の基本的なプロセスには欠かせない重要な役割を担っています。PDCサイクル。Plan(計画)、Do(実行)、Check(検討)の繰り返し、です。
ゴルフの場合にも同様で、また、それが効率的に「うまくなる」秘訣でもあります。特に、毎回毎回、場所、時刻、自然環境や体調等、条件がさまざまに変化する中でのスポーツですから、都度、一喜一憂するのではなく、「トレンド(傾向)」という見方が必要です。そのためにはデータの記録・再生・分析が欠かせません。
しかし実際にゴルフのスコア記録を延々とやってますと、これが「スコア記録」という独立し自己完結した極めてマニアックな趣味であることに気付きます。ある意味、自分だけの世界、ナルシズムでございます。
自分だけの内なる記録−−−こんなものをひとさまにあからさまにするという行為は、極めてマゾヒスティックなことなのかも知れません。まあ、私小説なんてジャンルもありますが、これもそんな類なのかも。
ゴルフスコアは、次の3つのプロセスによって記録します。
これはほとんどのプレーヤがやっていること。自分と同伴者のストローク数・パット数を記入します。以下では、次のパフォーマンスカード(Pカード)に対してスコアカード(Sカード)と区別することにします。
と、同時に、「もう一枚のスコアカード」にストローク数以外の自分だけのデータを記入します。こちらの方は、性能をチェックするという意味でパフォーマンスカード(Pカード)と名付けることにします。
紙に書かれたデータを、自宅のパソコンの表計算ソフト(マイクロソフト社 エクセル)に入力します。私自身は、エクセルにプログラムを組み込んで「データ入力表」を自作。データ入力操作を定型化しています。
表計算ソフトに入力されたデータを自分のほしい形で分析・グラフ化します。右図はスコアの推移を折れ線グラフにした例です。
実際問題として、ゴルフレベルの上達に従って必要なデータは変わってきます。例えば、初心者のときはプレィ毎のスコアをグラフ化して満足していても、段々腕が上がっていくに連れて、同じデータをもっと違った形で分析したくなります。ホームグラウンドでのホール毎のストローク数のトレンド、ショート・ミドル・ロングホール別のストローク数の平均値の比較等々。
これらを自分のレベル応じて、ほしい形で分析する。必要なら過去に遡って分析しなおす、ということもあります。そういう意味では、市販のソフト等で定型化されたデータを得るのではなく、自分のレベルにあった「ほしい」データ分析、という考え方があってもいいと思います。そのためには、パソコンや表計算ソフトのスキルもある程度、向上させていかなければなりませんがね。
閑話休題 例えば、バンカーセーブ率
バンカーセーブ率、というのがあります。パンカーに入ったホールでパーを取得した割合、というデータです。2打目をガードバンカーにいれて、そこから2打であがれたかどうか、という数値ですが、こんな数値が「100切りアベレージ」にとって何の意味があるでしょう。だって、おそらく限りなくゼロに近い数値にしかならないはず。これはプロに必要なデータ、であっても、私たちに必要なデータではありません。
アベレージにとって必要なデータは、おそらく、ガードバンカーから何だでグリーンオンできたか、ぐらいでいいのではないかと思いますが、如何?
ゴルフのスコア記録術で、最も重要なのは、プレィ中における「スコアカードによるデータ収集方法」です。前述したように、10年後に分析し直すことも考慮して、事前に取得するデータを決めておかなければならない、ということになります。
かといって、プロがやるように克明にメモ帳にいろいろ書き込む、などということができるわけもなく、プレィに支障をきたさない、それも同伴者に「何をしているの?」などと興味を抱かせない程度の必要最小限なデータ収集が「スコア記録の肝」なのであります。
前述したように、ゴルフ場に備えつけのスコアカードのみを使った「おやじのスコア記録術」。以下はそのエッセンスでございます。
プレィ前、ゴルフ場備えつけのスコアカードを2枚準備します。ひとつは、自分と同伴者のストローク数を記入するスコアカード(Sカード)。もう一枚は、自分だけのデータを記入するパフォーマンスカード(Pカード)です。
通常のスコアカードと同様、自分を含めた全員のスコアを記入するものです。まず、一般的なスコアカードの記入項目として、自分の名前、プレー日を記入します。
Sカードの余白部分に、スタート時間、天候・風・気温・体調・気持ち等々、自分なりのチェック項目を記入します。それぞれの項目は、何も「風速○メートル、気温○度」などと記入する必要はなく、あらかじめ決めておいた尺度を記入しておきます。
これらの項目は必ずしもスコアとの集計を要しませんが、あとで自分の記憶をたどるのにも記入しておいた方がよいと思います。
それぞれの項目は、必ずしも毎回正確に記入しなければならないことはなく、例えば「晴れ」であっても「晴れ後曇り」であってもかまいません。天気さえ書いてあれば、あとでパソコンにデータ入力するときに、再度、判断しなおすことができるからです。
また、項目によっては感覚的・相対的かつ抽象的になりますがそれでもかまいません。例えば「気温」などで「普通」としても「この時期としては普通」であって、気温が同じでも感じ方は変わります。要はプレーヤーたる自分のそのときの気分でいい、ということ。
下記に私の場合の記入項目と尺度(キーワード)をご紹介しておきます。
すぐに閑話休題 例えば、「前夜に酒」とか「チョメチョメ」とか...
ひとによっては、朝食をとったかとらないか、ゴルフ場に車を運転して行ったか同乗して行ったか。また、前の日、練習した?酒飲んだ?チョメチョメした?なんてことを残している御仁もおられるようです。まあ、個人的には、チョメチョメの心配は全く心配ないですが(^^;;)、前夜の酒は相当、影響しているようでして...。
「スコア記録カード」のスコア記入枠内には、まず自分の名前を書き、そのあとに同伴者名。この同伴者名の順番は「ハンディキャップの少ない方から書くんだ」とあるひとから教えられましたが、どうなんでしょう。以前は「自分との気持ち的な距離感の近い順」で記入していましてね。誰だって自分の名前の隣は若くてきれいなお姉さんの名前の方がうれしいでしょう。いくらゴルフがお上手だって、隣に鬼の上司の名前なんど書きたくもなし。
スコアは全員のホール毎の総ストローク数を記入します。パット数は、自分のものだけでいいでしょう。
プレィ後は、全員のスコアを合計しておきます。コンペでない場合、アテストまでは必要ないと思いますが、「同伴者のデータも含めてスコアを残しておく」ことになりますので、そうした手続きをするくせをつけておいた方がいいでしょう。「○○さん、合計スコアは○○ですよね」ぐらいの軽い言い方で充分です。
同伴者とその同伴者のスコアをデータとして残しておくといろんなことが判ります。このひとと回るとスコアが必ずいつもより悪い、とかなんとか。しかし、自分のスコアを何年にもわたって集計しているアマチュアゴルファーは希少価値なんですね。同伴者のデータを記録していると、同伴者のスコアの推移を同伴者以上に把握している、ということが日常茶飯事に起きるようになります。まあ、もっとも私のお友達なんぞは、自分のスコアの変遷を私に記録させている秘書代わり、ぐらいにしか思っていないようでありますが。
ストローク数ではなく、オバーパーの数値(パーはゼロ、ボギーは+1等)や記号(◎○△□)を記入できる方。そういう方は、少なくともトリプルボギーなどめったに叩かない上級者だと思います。100切りアベレージがオーバーパーで書いてみなさい。計算するのが大変だし、何より記号なんぞ書いた日にはトリプルボギー以上は記号がありません。まあ、個人的には今年あたりからオーバーパーで記入するようにしたい、とは思うんですがねぇ。、
2枚のスコアカードは「個人だけのスコアカード」。自分の個人的なスコア分析に使いたいデータを取得します。
収集するデータの種類はあらかじめ決めておく必要がありますが、特段、変わった項目である必要はありません。ストローク数やパット以外のデータとして一般的な「フェアウエイキープ」「OB」「バンカー」といった項目から4つ選択します。4つにするのは、スコアカードのスコア記入覧が4人分あるので、その数に合わせた、というだけです。
以下は、私の場合のPカードの記入項目例です。
スコア記入欄には4人分のエリアがありますので、まず名前の欄に「Fkeep」「OB」「Gbk」「SApp」と書きます。それぞれの項目は下記の通りです。
Sカード及びPカードに記入されている主なデータの例を一覧表にしてみました。
No | PAR | STROK | PAT | Fkeep | OB | Gbk | SApp | MEMO |
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N0.1 | 4 | 4 | 2 | 1W ○ | 2 | ティーショットフェアウエィキープ | ||
◇スタートホールはミドル◆ティーショット(1W)はフェアウエィキープ◇100y越えからの第2打がグリーンオン◆2パットでパー | ||||||||
N0.2 | 5 | 8 | 2 | 1W × | ○左OB | 3 | ティーショットOB | |
◇パー5のロング◆ティーショット(1W)左OB◇5打目でようやくグリーンから100y以下まで運んで6オン◆2パットのトリ | ||||||||
N0.3 | 3 | 5 | 2 | 6I - | 4 | 4 | ガードバンカー | |
◇パー3ショートホール◆ティーショット(6I)はガードバンカーへ直行◇バンカーからグリーンオンまで2打を要して◆2パットでダボ | ||||||||
N0.4 | 4 | 6 | 3 | 3W × | 4 | |||
◇パー4◆ティーショット(3W)はフェアウエィキープできず◇2打目でグリーンから100y以下に運んで3オン◆3パットしてダボ | ||||||||
N0.5 | 4 | 7 | 1 | 1W ○ | 6 | ティーショットフェアウエィキープ | ||
◇パー4◆ティーショット(1W)はフェアウエィキープ◇2打目はグリーンから100y以下なのに◆グリーンオンまで5打を要して◆1パットでトリ |
上記の定型化されたデータの他に、スコアカードの余白に「3打目ミス」「4打目グリーンオーバー」「5打目番手選択ミス、短い」とかいろいろな付加情報まで書き込んであると、プレィ後、各ホールの攻略のプロセスが驚くように再現できるようになります。
「スコア記録」ではありますが、こうしたアナログ的な付加情報も加えて、数値の羅列だけではない「活きたデータ」の活用が可能になります。実際にはこうしたアナログ情報もなんらかの形で数値化するのが理想的なのですが、さすがアベレージゴルファーにはそこまでやる手間も暇も気力もない、というか、そこまでやっても手間暇かかる割に効果は薄い。最小限の努力と注力で最大限の効果を得る。これもまたアベレージゴルファーの行き方の鉄則でもあります。
コンペでなくても、記入したスコアカードは、プレィ後、同伴者とアテストしておくのがよいでしょう。多くの同伴者の皆さんは自分のスコア記録などしていない方が多い。ということは、同伴者の記録はあなたのパソコンの中、ということです。あとで、同伴者に「そのスコアは俺んじゃない」と言われないためにもね。
更にデータ記録の肝のひとつは、これらのデータはその日のうちにパソコンに入力しておくことです。日をおいて入力すると、数値データは残るにしても、数値以外のアナログ情報の記憶が薄れてきます。数値情報の分析もさることながら数値以外の情報もパソコンに入力しておくことが重要です。
エクセルによるデータ集計の手法はここでは詳述しませんが、仮にも「自分でゴルフスコアを記録する」という方であれば、データを入力し折れ線グラフを作る程度の最低限のエクセルのスキルは身につけておかなければなりません。更に、エクセルは表計算ソフトですが、マクロ(VBA)と組み合わせると強力なデータ集計ツールになりますし、なによりも簡単にデータ入力や集計・グラフ化が定型化されるのが魅力です。一度、作ってしまうと、あとはデータを入力するだけで、自動的に集計・グラフ化してくれます。
ゴルフは特に日々のデータを云々するより「傾向を分析する」ことの方が大切です。例えば、パターを変えて臨んだプレィが最悪だったとして、仮にパット数がいつもより多くなったとしても、それがパターのせいだ、と断言できるでしょうか。ゴルフのスコアに影響する因子が多すぎて、1回のプレィだけでパター変更の影響を云々することは非常に難しいと思います。
そこで、スコア集計で参考になるのが「移動平均」という考え方です。私はよく「10プレィ移動平均」を計算していますが、これは「その日を含む過去10プレィの平均値」のことです。これで、スコアの傾向が判ります。
ハンディキャップ計算手法を応用して同じ移動平均でも、例えば「過去10プレィのうち、スコアのいい順に5プレィの平均値」というやり方の方が、気候変動・体調の変化等での特異値をネグることができるという意味でよいと思いますが、結構、計算がめんどうです。自分のデータでやってみましたが、単純な10プレィ移動平均値の方が判りやすいし、結果的にはそれ程、大きな「判断の違い」ということにはならないようです。
スコアをグラフ化するにしても、大いに凸凹している毎回のプレィのグラフも移動平均値で書くとなめらかな変動になり、現在のスコアのトレンドが判ります。
前述したスコアカードの記入によって、どんなデータが得られるのか。実際に分析している結果を上げてみましょう。
データを集計・分析して得られたさまざまなデータで、何が判るか、あるいは、こうしたデータをどのように用いているか、という話です。